2021.01.07

知っておきたい「マンションサロン」「おうちサロン」開業の注意点│意外と知らない、マンションの「営業許可」って何?

サロン運営ノウハウ美容業界コラム

都心部に多いマンションサロンの実態とは?

個人ではじめてのサロン開業をする場合、マンションで開業することを選択するオーナー様は大変多いです。サロン用に賃貸マンションを借りる場合もあれば、自宅マンションの一部を「おうちサロン」にするのもよくある開業パターンです。
東京都内のハイグレードな立地ともなると、店舗物件を借りるには家賃×10ヶ月という初期費用もざらで、さらに居抜きであってもある程度の内装費は必要です。たとえ初期費用が払えたとしても、ビルのグレードによっては個人だと契約できない物件も多く存在しています。個人サロンの広さであれば、内装が最低限で良い点・契約のハードルの低さなどからマンション物件のほうが数も多く、探しやすいのは事実でしょう。
都心部では特に、エステやネイル、アイラッシュなどスタッフ1~2名程度のサロンであればマンションの1室で営業している店舗はたくさんありますよね。しかし実はマンションでの営業はとても規制が多いため営業許可を取っていないケースが多く、いわゆる「モグリ営業」をしているのが実態です。
もちろん、マンションであっても店舗に営業許可を出している物件もあります。ただし業種がエステサロンとなるとたちまちハードルが上がり断られるというケースは多いようです。理由としては、
・大家さんが夜遅くまでの不特定多数の人の出入りを嫌う
・エステサロンが着衣の脱ぎ着を伴う密室でのサービスであることから、風俗営業との区別をつけにくい
・事務所利用が可であっても、サロンの場合多くの人が出入りすることから住民や他のSOHO利用者からのクレームが懸念されやすい
など様々あるようです。

マンションでの無許可営業にはどんなリスクがある?

それでもマンションで開業したい!と思うオーナーさんは多いと思います。そこで知っておきたいのは、「モグリ営業」をしていて万が一、それがマンションの管理会社や大家さんに知られてしまった場合には具体的にどうなるのか?ということですよね。
岡本順一弁護士(FAST法律事務所)によると、
「まず大前提として、マンションをはじめとした住宅物件には、主に『専用住宅』と『併用住宅』という物件が存在します。一般的に、『専用住宅』とは、専ら居住を目的に建築され、店舗、事務所、作業場等の業務の用に供する部分がない物件を指し、他方で『併用住宅』とは、1つの建物内に居住の用に供する建物空間(居住部分)と、店舗、事務所など業務の用に供する建物空間(業務部分)とが共存している物件を指します。特に『専用住宅』に該当する場合は、同物件内で店舗を開業することについて、賃貸契約書の禁止事項として規定されていることが多いはずです。そのため、『専用住宅』『併用住宅』のいずれに該当する場合であっても、賃貸借契約の内容として、店舗開業等が可能なのか、契約の際に、仲介業者や大家さんにしっかり確認、相談し、必要に応じて店舗開業等の許可を取得しておく必要があります。なお、店舗開業等を行うことについて、賃貸借契約上は禁止事項とされている場合であっても、実際上黙認されているケースもあるようですが、その場合であっても、万が一他の居住者からクレームが入るなどオーナーサイドが黙認できない事態に発展すれば、契約違反等を根拠として、オーナーサイドから物件の退去を求められ、その結果営業を停止せざるを得ない事態に陥る場合もあるでしょう。」

購入したマンションでの開業もNG?自宅サロンも要注意!

さらに岡本弁護士は、分譲マンションでの自宅サロンの危険も指摘しています。
「賃貸でなく分譲マンションを購入した場合であっても、店舗の営業など営利を目的とする利用は、マンション管理組合が規定する管理規約等で制限されていることも多いと思います。マンション管理規約とは『建物の区分所有等に関する法律(一般的に「区分所有法」と言われます)』という法律に基づいて規定されたもので、その多くは国土交通省が標準モデルとして作成した『マンション標準管理規約』をもとに作られていますが、規約上、住宅以外の目的で物件を使用してはならないことや、共同の利益に反する行為をした場合は、管理組合が違反行為を停止するため必要な措置を執ることができる旨規定されている場合があります。最近はご自宅で仕事をされている方も多いかと思いますが、いわゆる在宅ワークと言われる仕事の仕方と異なり、対象物件内においてリアル店舗を開設し、お店として営業をしているとなると、不特定多数の人の出入りや、匂い・騒音など、他の居住者の生活の平穏に対して影響が出る可能性があります。こういった影響は、『共同の利益に反する行為』に該当するか否かを判断する一要素とされますので、対象物件内において、エステサロンなどをリアル店舗として開設される場合、営業を行う中で他の居住者から合理的根拠のあるクレームを出されてしまうと、管理組合側から『共同の利益に反する行為』と判断される可能性があるように思われます。」

マンションサロンのトラブルは多い

トラブル例としては、管理会社や大家に内緒で内装工事を行った場合に多額の原状回復義務が生じたり、違約金の支払いを命じられることも。
実際にこれまで開業相談にいらした方の中でも、以下のようなマンションサロンでの問題例がありました。
・開業に理想的な店舗営業許可のあるマンションが見つかったが、「エステサロンはNG」と言われ契約できなかった
・事務所利用のみのマンションでこっそりサロン営業しているので看板も住所掲載も出来ず、結局は新規集客に行き詰まってしまっている
・マンションの同じ階に大家さんの親族が住んでおり、お客さんの出入りを指摘されて退去になった
・サロン用のマンションを借りていたが集客サイトの住所からバレてしまい強制退去になったため、今は自宅マンションで隠れて営業していてビクビクしている

これらはすべて、オアシスリゾートスパの開業相談でお話を聞いた方の実際のエピソードです。マンションサロンでは住所掲載時には番地までの表記にし、ビル名と部屋番号は予約時にお伝えするケースが多いようですが、明確に住所を載せていなくてもSNSなどを通じて情報が漏れてしまい、管理会社や大家さんに伝わってしまったという話をよく耳にします。

マンションサロンは開業のコストダウンだけでなく、プライベート感を保てる安心感や準備のしやすさも含めて初めての開業には今や一般的な方法としてとらえられがちですが、実際にはとても問題の多いリスキーな方法でもあることをしっかり知っておきたいですね。
せっかくサロンをオープンするなら、周りに遠慮したりビクビクすることなく堂々と看板を出して営業したいものです。開業するにあたり、お客様に迷惑をかけないためにもクリアなスタートを切りましょう!

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