2023.03.22
男性美容を身近なものに。現役メイクアップアーティストが立ち上げた新しい価値観の化粧品&サロンとは|HIBAさん(AGREE代表・メイクアップアーティスト)

美容業界でご活躍する方にインタビューする「オアスパ・美容業界プロフェッショナルインタビュー」今回はメンズ専門のメイクアップアーティストとしてご活躍中で、今春には自身の化粧品ブランドやサロンの立ち上げを控えているHIBAさんにお話を伺いました。
HIBAさんのご経歴、そして現在の仕事内容を教えていただけますでしょうか
タレントさんを中心にメンズ専門のメイクアップアーティストをしています。活動としては10年以上になります。新しい事業をスタートさせるために会社を設立し、準備を進めています。そのため、現在メイクアップの仕事は長年お付き合いのあるタレントさんに絞って活動している状況です。
新事業について、詳しくお聞かせいただけますでしょうか
男性タレントさんのヘアメイクを長年やっている中で、男性もスキンケアやヘアケアについて悩んでいらっしゃって「何をすればいいのか?」「どういうものを購入すべきか?」「奥さんと同じものを使っていればいい?」等、ご相談を受ける機会が多かったんです。
男性向けの化粧品は少なかったので、私がお勧めできる商品をその方に合わせてご紹介していたんですが、いつからか『自分が納得できる化粧品やサロンを作ってお勧めできたらな…』と思うようになって。それならば、タレントさんだけでなく一般の男性にも広く美容をお届けしたいと思い、化粧品開発やサロン開業を前提に法人設立に動きました。
化粧品開発は初めてのご経験だったと思いますが、どんなご苦労がありましたでしょうか
情報収集を沢山しましたし、パートナー候補の業者さんにも複数お会いしました。原材料や成分など学びを深めながら、「エクソソーム」と「ヒト幹細胞培養液」を取り扱っている企業さんに出会いました。この成分に関する機能を知って、是非商品に活用したいという風に思いました。
「エクソソーム」は口頭で説明すると少し難しいのですが、情報伝達物質で本来人間の中にあるものなんです。例えば、どなたかが病気を発症したとして、エクソソームは体の中で「病気になったよ」とおしゃべり(情報伝達)しているイメージなんです。逆に「病気ではない」というエクソソームを開発して免疫療法とするような研究もあって、国家プロジェクトにも採用されています。
自分自身、化粧品が好きだったので、効果が無いものを作るのは嫌でした。ですから、しっかりしたエビデンスがある原材料とそれを有する製造元さんと一緒に開発が進められて良かったです。納得がいくものになるまで、かなり時間がかかり、先方にも「ここまできたら、とことんやりましょう!」と言っていただきました。何度もリテイクを重ね、妥協することなく完成させました。ここまでお付き合いいただいた製造元にも本当に感謝しています。
そうして出来上がったファーストプロダクトをクラウドファンディングで販売されたんですよね?
はい。クラファンサイトのMakuakeで洗顔料、化粧水、美容液、クリームの4商品を予約販売しました。お陰様で目標金額の1131%を達成する応援購入をしていただき、これからお客様に届けていくことになっています。
ブランド名の「QUELL(クエル)」は、反乱を沈静化させるといったような意味があって、アンチエイジングとの闘いを終わらせるということに通じると思い、ブランド名に据えて、コンセプトを具体化していきました。

パッケージングもシンプルで男性も手に取りやすそうですよね
はい、男女ともにお使いいただけるよう、パッケージだけでなく中身も工夫しました。保湿力がしっかりあるけれど、べたつかない・・・といった男女ともに好まれるテクスチャーであったり、私自身メイクアップアーティストなので、そのままメイク下地にも使える機能的なクリームにこだわったりしました。
また、化粧品「QUELL」は大事にしている価値観があると聞きました
はい、このブランドが大事にしていることがあります。私自身動物が大好きなので「クルエルティフリー(※)」にこだわって商品開発をしました。ご協力いただいた業者様にも私のクルエルティーフリーに対する思いをご理解いただき、その上で制作が始まりました。
海外には多くのクルエルティフリーの認証マークがある中、日本ではほぼ見かけることがありません。人の命を救うために動物たちが犠牲になることもあり、その上に私たち人間が生かされていることはご存知だと思います。ですが『人が美しくなる』たったそれだけにために命が奪われることは許されることではありません。
私が化粧品を作る以上、『犠牲の上に成り立つ美は必要ない』いま私ができることは、動物実験の反対を表明することです。スキンケアブランド立ち上げに際し、私たちを起点としたクルエルティーフリーマークを提唱し、商品にもそのマークを入れます。
東京渋谷発のスキンケアブランドとして、たくさんの人から愛される渋谷の忠犬ハチ公をモデルとしたマークをデザインさせていただきました。サイトや広告等に使用してプロモーションしていき、大勢の方にクルエルティーフリーを認知していただけたらと考えています。
※化粧品「QUELL」の場合、動物愛護の観点から、開発から商品化まで、動物を傷付けたり、動物実験によって殺したりしていないことをビジネスポリシーとして表明している。

化粧品開発と同時に、メンズエステティックサロンのオープンも進めていると伺いました。準備の状況はいかがでしょうか?
2023年中のオープンに向けて、準備も大詰めです。オアスパの「恵比寿店」で開業致します。準備期間中に、オアスパの開業コンサルティングを受けさせてもらいました。初めてのサロン開業でしたが、必要な手続きや段取り、開発段階だった化粧品とサロンの集客のためのブランディングやマーケティング活動についてアドバイスしていただけて、とても助かりました。
このサロンでは、開発した化粧品を用いて、エクソソームを使ったフェイシャルケア、ボディケア、育毛ケアを提供する予定です。また、男性向けのメイクスクールも検討しています。コロナ禍になってリモートワークが増えた結果、男性も自分の容姿に向き合う機会が多くなったことで、自分の顔に興味を持つ方が多くなったんですよね。特にビジネスプレゼン等の大事な日に、好印象でご自身が輝けるメイクをご提供出来たら・・・と考えています。
メンズ専門のメイクアップアーティストとしてご活躍されてきたHIBAさんならではの化粧品とサロン、楽しみにしています!さて、2023年の美容業界において、注目のテーマ・トピックスがあれば教えていただけますでしょうか
「男性美容」は注目のトピックだと思います。先ほどお話したように、コロナ禍のオンラインミーティングをきっかけに、ご自身のお顔を見て美容に目覚める方が増えました。それがどんどん浸透していき、今、男性でもメイクをされたりエステに通われたり、「男性の美意識」が大きく変化していっています。その証拠に先日開催された美容展示会でも、男性向け化粧品が各段に増えました。
また、美容分野の進化も目覚ましいものがあります。自分が携わったエクソソーム等、いち化粧品でここまでやるのか!と思えるような新しい製品が生まれています。エクソソームは、もはや美容医療に近いものです。スキンケアにおいても新たな扉が開かれているなと実感しています。
リアルなお話をありがとうございました!それでは最後に、オアスパの会員様や美容業界で頑張っている方々に向けて、メッセージをお願いします
人を美しくするお仕事は、施術をされる側はもちろん、する側も心が豊かになると感じています。心が豊かであると、それが表情という美しさを生み出すと思っています。
私も化粧品開発やサロンオープンなど、スタートに立ったばかりで、まだまだこれからですが、お客様に楽しい明日をご提供できるよう頑張ってまいります。
また、実は会社設立に当たって、創業メンバーとともに描いた夢があります。それは今の事業を成功させて、ゆくゆくはメイクの仕事で関わったエンターテイメント業界を盛り上げる仕事をしていきたいと考えています。その夢に向かってまずは、自分が出来ること「美容」からビジネスを発展させていきたいなと思っています。引き続き、同じ美容業界にいる皆さまからのご指導を賜れたらと思っています。今後ともよろしくお願い致します。
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